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専属産業医が要るかどうかは、人数で決まる——1,000人・500人・3,000人の三つの線

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この記事の結論

専属の産業医を選任する義務が生じるのは、事業場ごとに常時1,000人以上の労働者を使用する場合、または深夜業を含む一定の有害業務に常時500人以上を従事させる場合である(労働安全衛生規則第13条第1項第3号)。労働者数が常時3,000人を超える事業場は、専属の産業医を2人以上選任する必要がある(同項第4号)。いずれにも該当しなければ、嘱託でよい。

誰向けか: 自社の規模から専属産業医が必要かどうかを判定したい総務・人事の担当者。深夜業や有害業務がある事業場の担当者は特に確認したい。

  1. 1,000人・500人という基準は、会社全体ではなく事業場ごとに数える(労働安全衛生法第13条第1項)
  2. 500人の基準が適用されるのは、労働安全衛生規則第13条第1項第3号イ〜カが列挙する有害業務に常時従事する人数であり、事業場の全従業員数ではない
  3. 3,000人を超える事業場は、専属であっても1人では足りず、2人以上の選任が必要になる(同項第4号)

社員が1,000人を超えたら、産業医は専属に切り替える——総務の間で、そう語られているのを聞いたことがある。半分は正しい。ただし、その1,000人をどこで区切るかを間違えると、専属にしなくてよい会社が専属を探し始めたり、専属が要る会社がいつまでも嘱託のままだったりする。

専属が要る条件は、二つしかない

労働安全衛生規則第13条第1項第3号は、専属の産業医を置く条件をこう定めている。

「常時千人以上の労働者を使用する事業場又は次に掲げる業務に常時五百人以上の労働者を従事させる事業場にあつては、その事業場に専属の者を選任すること。」

条件は「又は」でつながれた二つだけである。1,000人以上の労働者を使う事業場であるか、あるいは同号のイからカが挙げる有害業務に500人以上を従事させているか。どちらにも当たらなければ、産業医は嘱託で足りる。

そもそも産業医を置く基本義務は、労働安全衛生法第13条第1項が定める「事業場ごとに……産業医を選任」という規定によって、常時50人以上の事業場に生じる(同法施行令第5条)。専属は、その基本義務の上に乗る、より重い義務にすぎない。

千人も、五百人も、事業場ごとに数える

本社800人・支店300人、全社では1,100人という会社を考える。専属が要るように見えるかもしれない。だが第13条第1項が定める単位は事業場であって、会社全体ではない。本社の800人はそれだけでは1,000人に届かず、支店の300人も届かない。

合算しない

専属産業医の要否は、選任義務そのものと同じく事業場単位で判定する。全社の人数が1,000人を超えていても、単独の事業場が1,000人に届いていなければ専属義務は生じない(労働安全衛生法第13条第1項、労働安全衛生規則第13条第1項第3号)。

総務の間で言われる「1,000人で専属」は、事業場の話であるかぎり正しい。会社全体の名簿だけを見て判断すると、正しくない方の半分を踏むことになる。逆に、単独の工場が1,000人を超えていれば、それだけで専属が要る。見るべきは会社の規模ではなく、その場所で働く人数である。

「500人」が指す有害業務は、限られている

500人の基準は、どの業務にでも当てはまるわけではない。同号がイからカで列挙する業務——多量の高熱物体を扱う業務、著しい振動を与える業務、深夜業を含む業務、坑内の業務など——に常時従事する人数だけを数える。一般事務や営業の担当者がどれだけ多くても、この500人には含めない。

工場の製造ラインに500人が配置され、深夜業を含むシフトで動いている、という状態なら該当する。同じ1,000人規模の会社でも、全員がオフィスワーカーであれば、この経路での専属義務は生じない。

3,000人を超えたら、専属でも1人では終わらない

3,000人

同項第4号は、こう続ける。「常時三千人をこえる労働者を使用する事業場にあつては、二人以上の産業医を選任すること」。1,000人を超えて専属が要る事業場のうち、3,000人をさらに超えた事業場は、専属産業医を2人以上そろえる必要がある。1人の専属医で足りると思い込んでいる大規模事業場が、この号を見落としていることがある。

掲載19社のうち、専属に触れているのは4社

条文の線引きが、紹介サービス側の掲示にどこまで反映されているかを確かめた。当サイトが掲載する産業医紹介サービス19社の公式サイトを読み、専属産業医の紹介・選任支援に触れているかを数えると、19社中4社だった(エムスリーキャリア、パソナ、メディエイト、ワーカーズドクターズ。2026-08-26取得)。

4社のうち、人数で線を引いて書いているのはワーカーズドクターズだけである。同社は自社サイトで「嘱託産業医紹介(50人以上)・専属産業医紹介(1,000人以上)・顧問産業医紹介(50人未満向け)」と、プランをそのまま条文の閾値に合わせて説明している。残る3社は「専属・嘱託の紹介」とだけ書き、境界の人数までは示していない。

条文を読まずに問い合わせると、担当者ごとに答えが揺れることがある。自社の事業場の人数と、深夜業・有害業務の有無を先に数えておけば、見積もりの段階で話がずれずに済む。

契約前に数えておく3つ

  1. 自社の事業場を場所で切り分け、それぞれの常時使用労働者数を数える
  2. 深夜業や有害業務(イ〜カ)に常時従事する人数を、事業場ごとに別に数える
  3. 1,000人または500人を超えていたら、3,000人も超えていないか確認する

いずれの線も超えていなければ、専属を探す必要はない。産業医の選任手順には嘱託の場合を含めた選任の流れを、産業医の費用相場には専属・嘱託双方の実額をまとめてある。専属を置く場合の相場が嘱託と比べてどれだけ上がるかは、当サイトが数えた範囲ではまだ十分な社数が集まっていない。

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